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広島醗酵会中国・四国支部は、中国地方、四国地方に居住している広島大学醗酵工学関係卒業生で構成されている同窓会組織です。

「マッサン市民講演会」及び第10回「ふるさと醗酵新年会」を開催しました。

「マッサン市民講演会」及び第10回「ふるさと醗酵新年会」を開催しました。

 平成27年1月24日(土)の午後3時30分、ホテルグランヴィア広島3階「飛鳥の間」にて、「マッサンこと竹鶴政孝の竹鶴政孝のウィスキー人生」と題した市民講演会が竹原の竹鶴酒造(株)代表取締役・竹鶴壽夫氏を講師にお迎えして行われた。主催は西日本生物工学会・中四国支部、共催は 広島醗酵会、後援は中国新聞社、㈱アサヒビール、広島大学。司会は秋庸裕広島大学教授、座長は室岡義勝大阪大学名誉教授。

 NHKテレビの連続ドラマ「マッサン」一般講演会の企画には、講師との打ち合わせ、会場準備、スポンサー調整、ポスター作り、当日の人員配置やパンフレット配布などの準備打ち合わせが約一年かけて念入りに行われた。新春に入り「マッサン」人気はいよいよ最高潮。中国新聞報道でインターネット募集枠150人は応募開始から2時間余りで定員に達し、醗酵関係者50人を含めて会場は立席もでる満員が予想された。

 会場受付には3時前から多くの人が並んで、200名余の混乱が早くもはじまる。会場には、ドラマの主題テーマ曲「麦の歌」にちなんで、広島県日本画協会画家による「麦の絵」(100号)3枚がロビーに特別展示された。竹鶴さんへの新聞社取材も入る。講演開始前からすでに熱狂した雰囲気。

 明治時代、マッサンは日本で初めて本格的スコッチウィスキー作りを目指して、船で何カ月もかかって単身渡英した。当てもなく、コネもなく、保守的で秘密主義の醸造場を飛び入りで訪れた。運よく、ウイルソン教授やイネス博士にめぐり合い、苦学の末、独学でウィスキー作りを学び、その成果を「政孝ノート」にまとめた。スコットランド人リタと恋愛、国際結婚して帰国する。

 日本は世界不況、戦乱へと続く激動時代。マッサンは交友関係を大切にし、広く人脈を築く。同郷の池田勇人内閣総理大臣をはじめサントリーの鳥井信二郎ら多くの人たちの助けを得て、苦難を乗り越え、ウィスキー作りを始める。敵国人として迫害された逆境の妻リタを優しく守り、生涯こよなく愛した。

 マッサンは日本の武士道とスコットランドの英国風紳士堅気を文化融合させ、民主主義とフェミニズムを実践した。マッサン夫婦は味覚と嗅覚を大切にした美食家で、仕事同様に遊びや文化を大切にし、柔道、射撃、釣り、乗馬、麻雀等の多くの趣味を楽しみ、夫婦ともに誇り高く、オシャレに生きた。

 マッサンは面倒見の良い親分肌、亭主関白、その人生は実直で豪快であった。八十歳過ぎまでウイスキーを二日に一本毎日飲み続けた武勇伝もある。マッサンの仕事や品質に妥協しない生き方は講師の実家である竹原の日本酒醸造の職人気質によって育まれた、と竹鶴氏は言う。

 「家業を継ぐために大阪高等工業の醸造科に入り、ウイスキーに興味を持ってから、ただ一筋にウイスキーづくりだけにいきてきた。その意味ではマッサンは一行の履歴で片付く男である」(竹鶴威)

 竹鶴氏はウイスキーだけでなく、竹原の歴史や本業である日本酒にもふれた。竹鶴酒造は安易な技術革新に頼らず、本格的日本酒「竹鶴」を目指して伝統的製法をかたくなに受け継いでいく。

 マッサンの面影とエピソードを豊富な写真を使って一般市民に解り易く語った竹鶴氏のお話は、和やかで、笑いもあり、楽しくも薀蓄のある講演となった。一時間にわたって、市民は満足に最後まで聞き入った。

 今回の企画を通じて、私たちはウイスキー作り一筋の二人のマスターブレンダ―、竹鶴親子と伝統を守る竹鶴氏の生き方に出会った。醗酵道を一筋に生きる男たちである。

 マッサンこと竹鶴政孝氏は大阪高等工業学校醸造科を卒業。渡英して、本格スコッチウィスキー「ニッカ」を日本で初めて世に出した。政孝の意志を継いだ養子の威(たけし)氏は「ニッカ」を世界ブランドに確立した卓越した経営者。広島高等工業学校醸造科卒業で私たちの先輩である。折しも昨年末に威さんが九十歳で老衰のためお亡くなりになった。広島醗酵会の「マッサン」講演会は、期を得た「竹鶴威追悼の会」でもあった。

 醗酵会共催の市民講演会「マッサンこと竹鶴政孝の竹鶴政孝のウィスキー人生」に続いて、5時から同ホテル「天平の間」に会場を移して,「第10回ふるさと醗酵新年会」が開催された。「10回目の記念すべき会に盛り上げよう」と、ふるさと醗酵新年会実行委員たちは約一年かけて講演会の企画して、準備に関わってきた。総勢200人を集めた講演会は内容も充実して大成功。「マッサン」講演会の達成感ある打ち上げ宴会でもある。

 テレビドラマ「マッサン」の映像、「麦の歌」のテーマ曲がBGMとして流れ、日本画「麦の絵」の展示された会場に顔なじみの同窓が1年ぶりに集った。遠路から原島俊阪大教授、吉田敏臣阪大名誉教授、新名惇彦奈良先端大学院名誉教授を客人としてお迎えして、広島醗酵会東日本支部から坂本君が飛び入り参加して、総勢63名の大宴会となった。和やかな雰囲気の中でのオープニング。

 川野広島発酵会中四国支部長が開会挨拶で「ふるさと醗酵新年会」が10回も続いたお礼を述べ、続いて佐々木建広島国際学院大学長の乾杯音頭、「醗酵科仲間がふるさと広島に年に一度集いましょう」と宣言。新田さんのよどみのない司会で宴会は進行する。

 講演会の余韻のさめやらぬ中で竹鶴壽夫さんを囲んで30分余りのトーク会「竹鶴政孝を知り、竹鶴威を偲ぶ座談会」が始まった。

 竹鶴威さんが昨年末にお亡くなりになられた、ひな壇上には竹鶴威さんの遺影、黙祷。座談会出席者は四人。竹鶴壽夫さん、講演会座長の室岡さん、竹鶴威さんと親交の深い野利本さん、東広島支部の坂本さん、進行は加藤が担当。

 座談会の前半部分は「マッサン」と大阪大学醸造科、竹鶴政孝親子の話題、さらに、広島大学と大阪大学の醗酵科の関連や校風の違いについて。大阪からお客人を迎えて、両校の交流も兼ねる親睦会となった。

 後半部分は坂本さんが「竹鶴威さんの在りし日の活躍と東日本支部」をスライドを用いてプリゼンテ―ション。熱の入った説明に、広島醗酵会みんなで在りし日の竹鶴威さんの姿を偲んだ。竹鶴威さんには広島醗酵会関東支部長として後輩会員と分け隔てなく親しく接していただき、同窓にとってその存在は偉大であった。

 竹鶴威さんの御冥福をしずかにお祈りします。

 その後、マッサンの「ニッカ」にちなんで、アサヒビールウイスキーアドバイザー古森氏によるウイスキー講話と試飲があった。そして、恒例の野利本さんと坂本さんの笑顔のオークション。今年は20本余りの「ニッカ」ウイスキー竹鶴の寄贈や日本酒「獺祭」の出品もあり、アンデルセン福袋も女性に好調でオークションは好評のうちに完売。

 ふるさと発酵会10周年を記念して、「ふるさと醗酵新年会」から山田隆広島醗酵会会長に、「マッサン」の関連書籍五冊が広大図書館醗酵分室に寄贈された。

 最後に広島醗酵会門副会長の閉会挨拶。「これからも、誘いあって醗酵会を盛り上げよう」。楽しくも、なつかしくも「ふるさと発酵新年会」はお開きになりました。

 御参加の同窓の皆さん、実行委員の皆さん、ありがとうございました。

(加藤 寛二記)

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